犬は見た目が9割?仔犬をもらった 焦茶色のトイプードル 小さくて丸くてもこもこで おはぎみたいだった もと飼い主さんが言うには 愛犬が、ある朝突然子犬を産んだんだって。 「びっくりだよ。全然身に覚えがないんだよね」 「そんな事あるの??人間なら大問題だけど…?」 「犬の世界はおおらかで良いよね」 飼い主さんはケラケラ笑っていた。 おおらかなのは飼い主さんの方だ。 「でも、うちにはもともと3匹いるから困っちゃってね… ペットは2匹までってマンションの決まりがあるからさ」 いやいや、もうすでに違反してますけど… どこまでもおおらかな飼い主さんから、 生まれた仔犬をいただくことにした。 仔犬の名前は「おはぎ」にした おはぎは産まれてからしばらくの間、おおらかな飼い主さんの家で母犬や兄弟犬に囲まれて育った犬だ。 こう言ってはなんだが、もと飼い主さんは一般のトイプードルの飼い主さんらしからぬ、なかなかのワイルド系な人で 彼女の中でトイプードルは、お座敷犬ではなく猟犬に分類されているみたいだった。 母犬や兄弟犬達も野性味にあふれ、ワンワンギャンギャン賑やかに暮らしていた。 だからおはぎが我が家にやって来た日は、ひとりぼっちでちょっと寂しいんじゃないかなぁと心配していた。 「おはぎちゃん、よろしくね 今日から仲良くしてね」 おはぎは追いかけっこしたり、おもちゃを引っ張り合ったり、元気でよく遊ぶ子だった。 遊び疲れたら私の膝にのってきて、うとうと昼寝をはじめた。 人懐っこくて甘えん坊だった。 大人しくて可愛い ぬいぐるみみたいに愛らしいわんちゃんだ 起こすのがかわいそうで暫く我慢していたが、もう限界だ!と 私がトイレに立った時、おはぎも一緒についてきた。 ドアを閉めようとしたら急いで隙間から入り込んできた。 「ひとりが嫌なの?」 仔犬だから寂しがり屋さんなのかもしれない。 「本当はトイレの時くらいは、私ひとりがいいんだけどね。 まぁいいか。今日だけだよ」 おはぎはものめずらしげに、トイレの中を探索していた。 用が終わり立ち上がった時、おはぎが鼻をキュンキュンいわせながら近づいてきた。 「よしよし おはぎちゃん、部屋に戻ろうね」 手を洗いながらおはぎの方を振り返ると なんと! 奴は、さっきまで私が腰かけていた「TOTO」に向かって片足を上げているではないか!! 「ダメダメ!おはぎのトイレはそこじゃないよ!おはぎもオシッコ我慢してたの?」 慌てて拭き取ったが、ほんのちょっとだった。 我慢してたって程の量じゃなかった。 え? 我慢してた… いやいや、そうじゃない! そうじゃねーわ!!! これはまさか まさかのマーキング… 私マーキングされたんだ!! マーキングとは、ここが自分の縄張りであることをほかの犬に知らせる行動のことだ。 てめー!このやろう! おまえ、さては、ぬいぐるみみたいなのは見せかけだけだな! 顔が赤くなるのを感じた。 これは私に対する挑戦状か?! ショックだよ 私マーキングされたの? なんか生物学的に、猛烈に、恥ずかしくなった。 一応私は飼い主(ニンゲン)なんだよ おはぎくん 君はペット(イヌ)だよね… 私に対して縄張りを主張するのは間違っていないかい? でも生まれたてのピュアな君にとって、私と君は同じ地球に暮らす同等のイキモノなんだね そうさ 命の価値に上も下もないのさ でも…でも… 「犬にマーキングされた女!」 道ゆく人が、声をひそめウワサしている映像が浮かんだ 「犬にマーキングされた女…」 「犬にマーキングされた女…」 私の「人生で一番恥ずかしかった出来事」が上書きされた瞬間だった。 |